202号室の、お兄さん☆【完】
葉瀬川さんと岳理さんが言い争っている中、私は皇汰の言葉に耳を疑いました。
「……岳理さん」
「あ?」
「NY行きの豪華客船のある港に、麗子さんのリムジンが止まってるらしいです」
「……っち」
『一応、空港内で呼び出しかけてみるけどー』
「鳴海、そこにはいねー」
『えー?』
岳理さんはバイクを何度かふかすと、溜め息を吐きました。
「港、豪華客船が止まってる港に来い!」
岳理さんが携帯を私に投げて、舌打ちしました。
私は携帯をポケットに仕舞うと、バイクは動き出しました。
「引き換えすから、掴まれ」
「へ……?」
そう言うと、岳理さんはバイクを発進させ、車と車の間をジグザグに移動して行きます。
交差点で無理矢理Uターンしました。
く、クラクションが鳴ってます!
バイク倒したら、起こせないのに岳理さん、運転があ、荒すぎます!
「あの野郎! 二度と甘やかさねえからな!!」
「お兄さん……」
「捕まえて、孔礼寺に監禁してやる!」
し、出発に間に合って欲しいけれど、
お、お兄さん、逃げて下さい!