202号室の、お兄さん☆【完】
……で、でも確かに、
岳理さんと居ると緊張してしまって、お兄さんの話ばかりしてしまった気がします。


まだ、お兄さんがNYへ行って日が浅いですし、202号室にお兄さんが居るのが当たり前だった日常が、崩れ去ってしまったし……。



「が、岳理さん」

「……ん?」

私が名前を呼ぶと、寄せては返す波を見ていた岳理さんは、此方を見て、首を傾げてくれました。


――その仕草も、苦い煙草も、全て、全て好き、です……。


そんな、岳理さんが、

いつも甘えさせてくれてばっかりの岳理さんが、


甘えてくれるのは、嬉しいです。


頑張って、服の裾を掴み、

背伸びして、

こっちを伺う岳理さんの頬に、


――キス、しました。



ほ、ほっぺが今の私には限界なのです。




「…………くっ」


岳理さんはポロッと落とした煙草を拾う為に座り込むと、顔に手を当てて笑ってます。


「……おい」


そう言って、掴まれた腕と共に、胸の中に引き寄せられました。





「俺からも、お返し」


 
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