202号室の、お兄さん☆【完】

「な、なんで岳理さんはいっつも、いっつも首筋を噛むんですか!! き、吸血鬼ですか!」

「そうそう」

岳理さんは適当に返事をすると、更に噛もうとして来ます。


「うわぁぁぁ! わたし、食べても美味しくありません!!」

「いや、旨そう。後ろから抱きしめたら、甘い良い香りがする」

そう言うと、鼻を首筋に当てて、クンクン匂ってきました。




「いやややや、そんな滅相もないです」

「あ、赤くなった」


岳理さんは首筋から顔をあげて、クッと笑いました。



が、




「きゃあああああ!!!!!!!」

く、首筋を舐めましたぁぁああ!!

慌てて腕の中から逃げ出しますが、砂の上ではうまく走れません。

サンダルが片方脱げたのをそのままに走ると、岳理さんはポイポイと、履いている靴と靴下を脱ぎ捨てました。


そして、私のサンダルを拾い、

ままさかのクラウチングスタートです!!!


「いやぁぁぁ!!」


呆気なく捕まった私の足に、サンダルを履かせてくれました。




「おお、貴女だったのですね。このガラスの靴の持ち主は」


「これはガラスの靴ではなく1280円のサンダルですが……」
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