202号室の、お兄さん☆【完】
今日から、玄理さんは出張で留守になります。
ドラガンさんも、リヒトさん達も、今日は帰りが遅いらしく……。
が、岳理さんと2人っきり……?
このお寺に居候してから、初めての2人っきり。
わわわ! どうしょう!!!
柱にもたれ、携帯を弄る岳理さんの横で1人、真っ青になったり真っ赤になっていると、
「はぁ? ったく」
岳理さんの舌打ちと溜め息が聞こえてきました。
「どうしました?」
「ジジイが研修に使う道具一式家に忘れたってさ」
「ええ!!」
岳理さんは携帯を額にガツンと当てて、もう一度大きく溜め息をこぼしました。
「今から届けに行く……」
チラッと私を見たので、私は頷きました。
「わ、私なら1人で大丈夫ですよ! なんなら友達とご飯に行ってきます」
誘われていたけれど、夜遅くなりそうだったから、断っていたのです。
「じゃあ、乗ってく? 遅くなるなら迎えに行くけど」
そう言われ、私が頷くと、岳理さんは友達たちの所まで送ってくださいました。