202号室の、お兄さん☆【完】
「違うよっ みかどちゃん、無言で手を叩くんだ」
リヒトさんが手をパンパン叩くと、ドラガンさんはそちらに向きます。
そして、トールさんも手を叩くと其方へまたよろよろと向かいます。
利江ちゃんや亜美ちゃんもパチパチ叩きます。
「ドラガンさん、こちら、手の鳴る方へ~」
「おお! 此方か!」
「きゃああ!」
笑顔で逃げ回る友人たち。
ゾンビの様に両手を出してさ迷うドラガンさん。
皆さん、楽しそうです……。
「ご、合コンって奥が深いですね。リヒトさん、トールさん」
廊下でワインを飲んでいる2人に話しかけると、2人は目をパチパチさせました。
「目隠しゲームをするんですね、合コンって。私、てっきり王様ゲームしたり、血液型の話で盛り上がったりアドレスを交換するのが合コンと思ってました」
「やけに詳しく想像してたんだね。でもみかどちゃんの方が正しいよ」
「へ?」
「ドラちゃんは、吉原とか舞妓さんとかと遊ぶのに憧れて『芸者遊び』を、お願いしたみたいよ」
「ええ!?」
「俺達を連れてくるのを条件に、ね」
……そうだったのですね。
そう言われたら、ゾンビみたいな歩き方をしているドラガンさんが、何故か輝いて見えます。