202号室の、お兄さん☆【完】
でも……。
こうして2人、横に並んで料理をするのは、なかなか楽しいです。
し、新婚みたいで……。
ブロッコリーを湯切りし、覚悟を決めてフリフリエプロンもしました。
岳理さんはフライパンの中身をスプーンで掬い、味見するのも様になってます。
「岳理さん、不器用なのにお料理は上手なんですね」
「……ああ。小さい頃から、母親居なかったし、自分でやってたからな」
え……。
あ、……悪い事を聞いてしまいました?
そういえば、玄理さんしか見た事ないから、聞けなかったのですが。
「すいません!! 辛い事を思い出させてしまって!!」
「は……?」
「私も母は幼い時に亡くなりましたが、ですが皇汰とは分け隔てなく育って来たから! でも」
まな板上のアボカドをみじん切りにしながら、あわあわ言い訳すると、岳理さんは表情も変えずに言いました。
「いや、俺の母親、生きてるけど?」
「え!?」
「辛気臭い本家とか分家とか、あと妊娠中にストレス溜まって、俺が小さい頃から年単位で海外出張行ってる」
「そ、そうなんですか……」
あっけらかんと言うからには、岳理さん的には普通な事なんですね。