202号室の、お兄さん☆【完】
「お忙しいんですね」
「そう! 理人さんも透さんも中卒で、弟さんたちの為に就職したんですが、
理人さんは今のお店の人に援助して貰って、大検取って、専門学校行って就職。
透さんも大検取って、夜間働いて、昼は学校。2人とも、一番下の弟が高校卒業するまで仕送りするみたいですよ」
うわ……。
そんなに頑張って苦労してる様子もなかったのに。
だから、2人は綺麗だったのかな。
芸能人みたいに輝いてたのは、2人の努力や優しさや頑張りがにじみ出ていたのかな。
「すみません。ご迷惑かけてしまって」
私が謝ると、お兄さんは優しく笑って首を振った。
「いいえ。僕もセクハラしちゃったし、おあいこですよ」
そう言って、テーブルに置いていたらしい私のメガネを渡してくれた。
「いえ。スカートもエプロンも可愛いですもんね」
眼鏡をしながら、黒いエプロンを眺める。
良く見たら、レースもあしらっているし、リボンもついていて凄く可愛い。
「みかどちゃんが着るから可愛いんですよ」
あっ……。
「凄く、似合ってます」
お兄さん……。