202号室の、お兄さん☆【完】
「みかどちゃん、みかどちゃん」
私が共同和室でレポートをしていたら、トールさんがやって来ました。
「はい?」
手には、レポート用紙を持っています。M大と私の大学の臨時講師の授業やテーマレポートが全く同じなので、見せてもらうお願いをしたのです。
「お願いがあるんだけど」
そう言って、キョロキョロ辺りを見回します。
「岳理さんなら、玄理さんの仕事の手伝いに行きましたよ。もう帰ると思いますが……」
うわぁぁ!!
ご馳走を前に、待てをしている犬の気分です。
「良かった。ねぇねぇ、俺の事、『トール』って呼んでみて」
「へ?」
「敬語のみかどちゃんも可愛いんだけど、俺の事を呼び捨てにするみかどちゃんも可愛いと思う。てか可愛い」
「ええ!?」
驚いていると、
「ちょっと待ったぁぁぁ!!!」
キキキィッと車が急ブレーキをかけるように、廊下から現れたのはリヒトさん。
うわぁぁ!!!
手には、ま、幻の苺大福。
1日5個限定の、3ヶ月予約待ちの品物です!!
「『ちょうだい、リヒトにぃ』って言って」
「! やっぱ俺も! 『レポート見せて、トールお兄ちゃん』って呼んで!!」
2人から『呼んで呼んでコール』が響きます。