202号室の、お兄さん☆【完】
大福、美味しいです。
苺と餡と生クリームが同時にふんわり口の中にとろけて、凄く幸せ……なのに。
「あの、どうしました?」
共同の和室、とは言いましても、簡単な衝立(ついたて)があるだけで、孔礼寺の畳の部屋は、ほぼ襖は取り払われています。
縁側から覗けば、広い1つの部屋のように。
奥へ行けば、廊下の向こうに寝室や個室があるので、不便はありませんが、ですが、……いやだから?
こんなに広い孔礼寺なのに、何故、岳理さんは隣に座ってるんですか!?
「あの、レポート作成中なのですが」
「――見てるだけだろ」
眼力が半端ない岳理さんに見つめられたら、し、集中なんてできないのに。
「終わったら、いくらでも見て良いので、今は……」
「生クリーム、鼻に付いてる」
話を遮られ、そう言うと岳理さんは笑いました。
「――舐めて、いい?」
「!!!!」
ごしごしごしっ
慌てて鼻をさすり、ドヤ顔で岳理さんを見つめてみました。
あ、危なかったぁぁあ!
「っち」
ふてくされた岳理さんは、テーブルに頭をうずめた後、此方をぐるんと向きました。