202号室の、お兄さん☆【完】
「みかどちゃん!?」


その言葉、嘘でも良いから聞きたかったの。

可愛くない私に、オシャレなんて似合わないって。

勉強もできない私に、オシャレなんて必要ないって。


否定の言葉じゃなくて、
認めて欲しかったんだ……。


ポロポロと流れる涙は、言葉にできない不器用な私の叫び声。


お兄さんが、涙にしてくれた。



「すみません。すみません。その、嬉しくて……」



そう言うと、少しだけお兄さんは安心してくれた。


泣き止むまで、隣でずっといてくれた。


涙が少しずつ私の重い心を洗い流してくれる。


こんなに昔を思い出して、ドロドロに傷つく馬鹿な私も、

お兄さんや、リヒトさん、トールさんみたいに優しい心になれると良いな。




……でも、褒められすぎて倒れるって、私弱すぎる。
社交辞令を真に受けて、馬鹿な人に見えたよね。



「みかどちゃん、お昼の賄いは、2人に作って余ったリゾットとパスタですよー。食べれますか?」


そう言ってくれたお兄さんに、私は勇気を持って微笑みかえした。
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