202号室の、お兄さん☆【完】
頭から布団を被った葉瀬川さんを、ユサユサと揺さぶりますが、葉瀬川さんは抵抗しませんでした。
私は、岳理さんと玄理さんを睨んだ後、意を決し、葉瀬川さんの耳元に近づきました。
「起きて下さい。
――ゆ、ゆ、唯一さん」
「…………」
ガバッ
その瞬間、葉瀬川さんが目を見開いたまま飛び起きました。
リカさん達は驚いて、リヒトさん達の所まで逃げて行きます。
「今……」
「今?」
呆然と佇む葉瀬川さんは髪をかきあげました。
「お味噌汁の匂い、まな板をトントン叩く音、
そして私を起こす幼さ妻が見えた」
あわわわ。
凄い具体的な物が一瞬で見えちゃったみたいです。
「玄理さん、お見合い写真を」
正気を失った? 寝ぼけた?
どちらかの葉瀬川さんは、お見合い写真を次々に見ていきます。
「成功だな、みかど」
「……なぜ皆さん呼び方1つであんなに人が変わるのでしょう?」
リヒトさん達は勿論、岳理さんにも驚きましたが、私はまだまだ男心が理解できません。
「じゃあ、ハニーとみかど、どっちが呼ばれると嬉しい?」
岳理さんにそう聞かれ、ハッとしました。