202号室の、お兄さん☆【完】
翌日、早朝。
庭には、昨日の花火の残骸がバケツの中にぎっしり。
ビニールプールも逆さまにして壁にかけられていました。
202号室では、枕投げ後、死体の様に眠り込んでいる皆様がいました。
そして皆様に気づかれないように、ゆっくり静かに部屋を出る姿もありました。
「お・兄・さ・ん!」
「わわっ」
驚いたその人は後ろへ飛び退きましたが、
ドンっと背中をぶつけました。
「痛ぇな、鳴海」
「が、岳理くん……」
「やっぱり、そのスーツで行くのですね」
「みかどちゃん……」
お兄さんは、いつぞやの白のスーツに赤のブラウス。
そして今回は正装のつもりなのか、緑のチェックのネクタイをしています。
わわ、スーツの胸ポケットからは赤いハンカチも見えています。
「お前、コントかよ。それ」
「コント……?」
「あの、着替えますか?」
岳理さんならば、高そうな良いスーツをいっぱい持ってますし。
「いや、これの方がお色気糞ババアもびっくりするだろ」
クッと笑った岳理さんに、お兄さんは首を傾げました。
「この服装が何か……?」