202号室の、お兄さん☆【完】
「いや、お前らしくて、良いなってな。な、みかど?」
涼しげにそう言う岳理さんは悪魔のようです。
ですが、今日だけはこのままで良いです。
「さ、行きましょう」
「え!? みかどちゃんも岳理くんも来るんですか?」
お兄さんはびっくりして、私と岳理さんの顔を何度も交互に見ます。
「もちろん。俺は運転手」
「私は、実家に顔を出すだけです」
「あ、あああ」
お兄さんは片手で頭を押さえてよろけましたが、なんとか踏みとどまりました。
「言っただろ。何があっても俺はお前の味方だって」
「私も。お兄さんのそばに居るって」
そう言うと、お兄さんは深い深い溜め息の後、苦笑しました。
どうやら、観念したようです。
いくらお兄さんが覚悟を決めていても、お義母さんは一筋縄では行かない人なので、
傷つくかもしれません。
ついて行く事をお許し下さい。
「さぁて。決別式が終わったら3人でデートにでも行くか」
お兄さんの髪をクシャッと触りながら岳理さんが言いました。