202号室の、お兄さん☆【完】
ホームセンターに着いた私は、女子トイレへ逃げた。トイレには、センター内の案内図も貼られているので、もしもの為に逃げ場所も確保する為に。
というか、何故あの人は執拗に怖い顔で私を追いかけるのだろうか。
敵意を向けられている様でとても怖かった。
「あー、ママ。このハートのサボテン可愛い!!」
外トイレから出ると、直ぐに園芸コーナーが見えた。
小さな鉢植えに、可愛いサボテンが植えられ、並べられている。
「そーねぇ。サボテンって確かお水あげなくて良いのよねぇ」
親子連れが、サボテンを選んでいると店員さんもにこやかに話しかけていた。
「2,3週間に一度、ティースプーン一杯のお水で大丈夫ですよ。
それにサボテンは水を貰えない方が、子孫を残そうと早く花を咲かせるんですー」
「あらー、じゃあ1つ選びましょうか」
「やったぁー」
……なかなか残酷な話ではあるよね。花を咲かせる為に、生命維持ギリギリしか水をあげないなんてさ。
私はアルジャーノンの大輪を夢見て、あげすぎず、少なすぎず調節しなくちゃね。
金鯱アルジャーノンは、60センチ以上になる場合もあるし、10号ぐらいの鉢植えに植え替えたいなぁ……。