202号室の、お兄さん☆【完】
取りあえず、携帯で鉢植えの値段をメモろうと鞄を漁るが、…………思い出した。


あの人に取られてたんだ。

どうせ身内にしか教えてなかったから、買い替えよう。






「探し物、これ?」
目の前に出された携帯は、紛れもなく私のガラパゴス携帯。手作りのビーズのアルジャーノンつきだった。
「それです」
受け取ろうとするが、上に空かされる。
見上げると同時に腕をしっかり掴まれた。

「――――!!??」

「喋るな。やーっと捕まえた」

口元を押さえられて、喋れない私、ピンチです。


――いつの間に、目の前に現れたの!?

出会った時よりも10歳はやつれ疲れ切った岳リンさんは、私を睨みつける。


「お前に話がある。
単刀直入に言うと、鳴海の隣から出ていけっ」
「?」


怖い。怖い。怖い怖い怖い。
目が、真剣だ。断ったら殺されそう。


「いいか、お前の――」

「姉ちゃん!!!!!



乗れっ!!!!!!!!」

「え!? きゃぁぁぁ!」


いきなり現れた皇汰に、


買い物カートに乗せられた。

キキキキィィと小刻みよくタイヤがしなり、方向転換する。

慌ててスカートを抑えると、そのカートで、岳リンさんに体当たりし倒し、尚且つ轢いて出口に向かった。
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