202号室の、お兄さん☆【完】
「姉ちゃんの携帯に、カレログ入れてて良かった」
「カレログって何!?」

「そのまま、駐車場から家に戻って!」

「皇、きゃあああああ!!!」
皇汰は私が乗ったカートを、勢いよく入り口から駐車場に飛ばした。

振り返ると、新しいカートを持って岳リンさんとにらみ合っている。


あ、足が着かないから止めれないよー!!






「あんた、姉ちゃんのストーカーなわけ?」

「話があるだけだ」


「探偵って割には、興信所の連中より馬鹿っほいし、金持ちの道楽って感じ? パパにまだ養ってもらってるんでちゅかぁ~~?」


「てめぇなぁ」












「いたっ」

フェンスにぶつかり、腰を強打しながらも、皇汰の元へ向かうが、――皇汰は既にお店の人に囲まれて泣いていた。




「お、お姉ちゃんが、この人に、ひっく、ストーカーされてて、け、携帯を返して、もらいたくて、うぅ」


「……」


棚に、突っ伏して倒れ動かない岳リンさんをお店の人が起き上がらせていた。

何があったのか怖くて聞けない。

ただ、分かるのは皇汰が可愛らしい外見を武器に嘘泣きしていることだけだ。
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