202号室の、お兄さん☆【完】
欲しかった本だって気づいてた……?
ただの偶然?


「あいつ、何で姉ちゃんを追ってたの?」

私が考えていると、拗ねたように唇を尖らせて言った。


「『お世話になった教授の娘』って言ってた」
「……そっか。――うん。じゃあ、目障りだね。ちょっと千景さんのとこ、言って説明してくる」

何で行方不明になってるお父さんに、これ以上苦しめられなきゃいけないの?


『単刀直入に言う』


あの目は怖かったけど、冗談ではなく真剣だった。


どうして、あの人は―……。




ピリリリリッ


「うわっ」


ナイスタイミングで携帯が鳴った。

「……ひっ」

植物図鑑に絆されて、もしかして悪い人じゃないかと思った自分が憎い。

――前言撤回。





『今日は世話になったな。
後日、デートでもしよう。
これ、強制。

孔礼寺 岳理 ←登録するように』


身内以外の連絡先が入ったのは初めてだ。
それが盗まれた時に、勝手にアドレスを見られたのだとしても。


もちろん、デートなんてした事、ない。



初めてのデートが、こんな脅迫デートなんて死んでも嫌だ!!!!!



私は、慌てて、削除した。
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