202号室の、お兄さん☆【完】
ドラガンさんは寂しげな憂いを背中に湛えながら、203号室に入っていきました。
203号室の方は、日本をこよなく愛す、ユニークな外人さんでした。
これで、花忘荘の方、全員と顔を合わせる事ができ、皆さんとても気さくで良い方ばかりで本当に良かったです。
「お兄さん、お休みなさい」
深々とお辞儀をし、そう告げた。
「あの、みかどちゃん」
慌ててそう呼ばれ、トアノブを握る手を離した。
お兄さんは、手をもじもじさせながら、決心したのか私の方を真っ直ぐ見つめ、
勢いよく、頭を下げました。
「すみません!
僕、余計な事とは思うのですが、先ほど、実はメールの内容を見てしまいまして……」
「へっ??」
「困っているのならば、何か力になれませんか!?」
「え、あのっ」
やっぱり、岳リンさんのメール、何か書いてたんだ!
内容を私は確認してないから、分からないけど、お兄さんは心から心配してくれています。
「僕が日曜日、代わりに行けたら良いのですが、
僕は此処を、出れないからー……」
出れ、ない――……?