202号室の、お兄さん☆【完】

見上げる、と……。

あれ、!? 葉瀬川さん?

「はははっ 君たちみたいな可愛い子たちと、珈琲を飲みながら漫画を語りたいものだ」

……本当に葉瀬川さんだろうか?
いつものアンニュイな雰囲気は微塵も無く、爽やかに笑う渋いイケメンが此処に居る。


「凄いじゃん! みかど!! 葉瀬川教授は、この学校で一番格好良いんだよ!」
「へ、へぇ……」
「選ばれた人しか、葉瀬川教授のサークルには入れないんだよ! 見てよ」

友人が、指差した先には、葉瀬川さんを取り囲む数人の大学生がいた。
皆、落ち着きある大人っぽい男女で、ふふふ、ははは、と上品に笑いあっている。


でも、こっちの雰囲気の方が好きかも……。


「漫画を通し、『愛』とは何か、『生』とは『死』とはを考えるんだ」
「さすが、教授。奥が深いわ……」
「教授の語る漫画の知識は、脳に響きますね」

……ち、ちょっと私にはディープかなぁ?


「はいはい、どいたどいたー。私の友達を勧誘するの、止めなさいよー」

探していた人の声が、人混みをかき分けて聞こえて来た。

「!! 千景ち、………ゃん?」


そこには、

谷間を強調した、ナース服姿の千景ちゃんがいた。
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