202号室の、お兄さん☆【完】
友達と別れて、学食へ向かう。
学食は、夕方近くだったので、勉強してる人やデザートを食べている人、談笑している人がぽつりぽつりと居た。

私はガラスの戸棚に入っているデザートの誘惑に負け、杏仁豆腐をお盆に乗せて、レジで支払った。


「あら、杏仁豆腐美味しそうね」

「千景ちゃん!」

30分後だったのでは?

「着替えるの後回しにしたの。みかどが何か話したそうだったから」


色っぽくウインクすると、そのまま雨のテラス席に移動した。

屋根はあるが雨だからか人が全く居なかった。

「何か面白そうなサークルはあった?」
「ううん。千景ちゃんを探してたから、全然見てなかった」

そう言うと、目をぱちくりさせた後、微笑んでくれた。


「花忘荘じゃ話せない事?」

そう尋ねられて、私は神妙に頷いた。






「おに、お兄さんについて、なんだけど」

私が言うと、千景ちゃんはニヤリと笑った。




「あら、好きになったの?」

す?????

す!!!!!!?
 
「ちがっ違うの!!! あのね」

「記憶喪失の事よねぇ」

私の反応に満足した千景ちゃんが、真面目なトーンになって、そう言った。
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