202号室の、お兄さん☆【完】
「私は、みかども頑張ってると思うよ」
杏仁豆腐のお皿だけ返されたのは少し悲しいけど、千景ちゃんは嬉しい言葉をくれた。
「人と関わろうって勇気を出して、私を探して尋ねてくれたんでしょ? 視野が広がるのは、怖いけど、嬉しい出会いもあるもんなんだよ」
「……千景ちゃん」
「私、『私なんか~』とか『羨ましい~』とか言って努力しない、うじうじ系は嫌いなんだけどねぇ。
純粋であたふたしてるみかどは、可愛いって思ってるよ」
優しいな。
綺麗だし、強いし、気配りもできるし、千景ちゃんは本当に良い人だと思う。
「決めた、私、決めたよ。千景ちゃん!」
両手を握り締め、私は堅く決心した。
「岳リンさんと、デートする!!」
「はぁあああぁあああぁ!?」
綺麗な千景ちゃんの顔が、間抜けな顔になった。
それでも、私の決心は変わらない。
「ちょっとね、脅されてたんだけど、逃げないって決めた。
ありがとう、千景ちゃん! 千景ちゃんのおかげで勇気出たよ」
「いやいやいやいや、待って、待って! 話が分からないけど、デートを脅迫されてたの?」
私が頷くと、瞬時にデコピンが帰ってきた。