最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~
蕎麦も食べ終えた私たちは、泊まるらしい芽夫婦を残して、私の家へと帰宅。
冷蔵庫のように冷えた部屋の明かりを点け、暖房を入れる。
「え……っ?井ノ原さん、どうしたんですか?;;」
コートを脱ごうとした私を、後ろから抱き締めて来た彼は、何も言わない。
ただ、戸惑いながらも恋しかった温もり。
身体を反転させると、よりキツくなる。
私も素直に、井ノ原さんの背へ腕を回した。