最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~
不安な私に対し、成美は携帯と財布を手渡して来た。

芽はユニフォームを脱がして来て、コートまで羽織らせて来た。

仕方なく、鞄は置いて、財布と携帯をポケットにしまってフロアに出た。



「――ッ!」



予想とは違い、美人な人。

まぁ、成美以下ではあるけど。

頭を下げると、名乗らずとも私がわかったのだろう。



「お忙しいところすみません。私、舜君の――…」



「晴香さん、ですよね?」



“妻”とか“家内”とかは言わせない。
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