最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~
平和って、どこにあるんだろう。

平和って、いつ訪れて来るんだろう。



「今度こそ約束守るから、俺と一緒に居てくれないか」



ドアから小さく漏れて来る海藤さんの声。

垣本さんの返事は聞こえないけれど、嗚咽の声質が変わった。

悲しみを感じない。

今きっと、垣本さんは悲しみを乗り越えたんだ。



「働いて来るね」



「うん。私たちも買い物したら、お店に戻るよ」



私は涙を堪えて、特設のテントがある駐車場へと出た。
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