最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~
ものの30秒で帰り支度を済ませて、髪を整える。

鏡でメイクを確認し、井ノ原さんの元へ。



「お先に失礼します」



「お疲れ様ー」



下川さんに見送られ、私は井ノ原さんを連れてアパートへと帰る。

徒歩5分の位置。



「どうぞ?」



あっという間に着いてしまう距離にある。

玄関を開け、明かりを点けて中に通す。

1DKの狭い部屋。

彼は「お邪魔します」と入ると、ガラスのローテーブルにケーキを置いた。
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