現実を生きたからこそ、夢を見る
「それは嬉しいことを、“思ってくれるな”。君の友人として、歓喜したいことでもある」
『言ってくれる』ではなく『思ってくれる』と言う輩は、見透かしの人。
夢の製作者は私だが、演出は奴。この暗黒に星だけの世界を彩る奴は、お決まりのように私の斜め上に佇んでいる。
「ここに来てしまうほど、私は弱っていたのか」
私がこの夢に招かれる時は、決まって、“壊れかかっている時”だ。
――私は、現実に嫌われている。
「生きたいとも死にたいとも叫べない、だからこその壊れかけたる君が、“弱っていない時などあるのかい”」
唇を引き伸ばす奴。馬鹿にしているわけではないが、不愉快には違いなかった。