キミ、カミ、ヒコーキ
質問に対して微妙に外れた回答をしている気がするが、なぜかあたしはこの男に興味を持った。
男は寝ていたらしい。
微妙についた寝癖に芝がちょろちょろとくっついている。目をこすり、ブツブツ独り言を言って立ち上がった。
「あー、もうこんな時間か。片付けなくちゃ」
男はそう言うと、馬鹿でかいバッグを広げ、中庭の中央へ歩いた。
あたしはその行動を目で追った。男が向かう先には、馬鹿でかいスケッチブックが落ちている。
あたしは男の後を追い、声をかけた。
「おい。それなんだよ」
男はあたしの言葉を無視してスケッチブックをじっと見つめている。
「おい聞いてんのかよ。お……」
「しっ」
スケッチブックを覗こうとした時、男の手のひらがあたしの口を塞いだ。
冷たかった。
いつものあたしなら突き飛ばしているハズ。
なのにあたしは飼い慣らされた猫のようにじっと男を睨みつけ、黙った。
「今、動きだしたんだ。君のお陰だ、ありがとう」
男ははにかみあたしを見つめた。
冷たい男の手のひらが、あたしの熱や色んなものを奪っていく。
嗚呼、今日はなんてツイてない日なんだろう。
男は寝ていたらしい。
微妙についた寝癖に芝がちょろちょろとくっついている。目をこすり、ブツブツ独り言を言って立ち上がった。
「あー、もうこんな時間か。片付けなくちゃ」
男はそう言うと、馬鹿でかいバッグを広げ、中庭の中央へ歩いた。
あたしはその行動を目で追った。男が向かう先には、馬鹿でかいスケッチブックが落ちている。
あたしは男の後を追い、声をかけた。
「おい。それなんだよ」
男はあたしの言葉を無視してスケッチブックをじっと見つめている。
「おい聞いてんのかよ。お……」
「しっ」
スケッチブックを覗こうとした時、男の手のひらがあたしの口を塞いだ。
冷たかった。
いつものあたしなら突き飛ばしているハズ。
なのにあたしは飼い慣らされた猫のようにじっと男を睨みつけ、黙った。
「今、動きだしたんだ。君のお陰だ、ありがとう」
男ははにかみあたしを見つめた。
冷たい男の手のひらが、あたしの熱や色んなものを奪っていく。
嗚呼、今日はなんてツイてない日なんだろう。