キミ、カミ、ヒコーキ
「あの野郎、俺のたこ焼きを食っちまったんだよ。8個中6個」

「でも2個食えたんだろ? ならいいじゃねぇかそんくらい」

「残りは地面に落ちた」


ユージが大袈裟に「まいったな、こりゃ」みたいなポーズを決めて、最後のたこ焼きを飲み込んだ。やはりここでもコーヒー牛乳は欠かせないらしい。

「てかなんでたこ焼き食われたんだよ。空でも飛んだのか?」


「まぁそんな感じだ。あいつがもってた馬鹿でかいバッグにつまづいてな。転んだ拍子にたこ焼きがふっとんだ」


ユージはゲラゲラ笑っている。前歯に容赦なく青ノリがついてるのを見て、俺も笑った。


「あー、なんか話したら今まで苛々してたのがバカバカしくなってきた」

「そうだそうだ。そんなたこ焼きちっぽけなことさあ」




俺は残りのたこ焼きを口に一気に詰め込んだ。詰め込みすぎてむせてしまうのを見て、ユージが神妙な面持ちでコーヒー牛乳を差し出してきた。

「大丈夫か? これ……少しだけなら飲んでもいいぞ」


俺は丁重に断った。
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