キミ、カミ、ヒコーキ
「どうしたの、のんちゃん顔色悪いわよ」

ばあちゃんがそう言いながら、茶碗にご飯を盛っていた。


「えっ、あっうん、平気平気」

いつも林檎を見るたびに思い出してしまう。嫌な記憶。


「今日はね、裕子の誕生日なのよ。裕子の好きな肉だんごも、じゃがいもの味噌汁も、きゅうりのお漬けもの、それから林檎は食後に、ね」


あたしは肉だんごのタレをご飯にかけて、かきこむように食べた。甘辛いこのタレと少し大きめの肉だんごは、あたしも結構好きだ。そこら辺はきっと『親子』なんだろう。


「お母さん、今日帰ってくんの?」

「ええ。さっき電話があってねえ。多分そろそろ来るはずじゃないかしらねえ」


「ふーん」






林檎はただただ色あせるばかりで、結局その日お母さんは帰って来なかった。


おばあちゃんは、冷めた肉だんごを小皿に移し「裕子の分」と言って冷蔵庫にしまった。

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