キミ、カミ、ヒコーキ

★9

【TUBASA】

最高気温21℃。湿度10%。風弱め。


天気

ちょー晴れ。


「翼! こっちこっち」

ユージが白いタオルを振り回しながら手を振った。

代わりに俺は、朝飯変わりに食ってたメロンパンの袋をガサガサと振り回した。

ユージは腕時計を見ながら、田畑の真似をしだした。


「おい野口ぃ。今日も遅刻か……あ、ありゃ8時29分。うん、まぁギリギリセーフだな。見逃してやる」

「先生、僕だってやれば出来るんです」

「なーにが僕だよ。柄にもねぇ」


校庭にはまだ誰も居なかった。それもそのハズ。今日の部活は午後からなんだ。8月の埼玉インターハイ――俺とユージは予選通過で出場が決定した。

俺は男子短距離200Mとハードル走。

ユージは男子走り幅飛び。



高校二年の夏。絶対名前を残してやるんだ。


丸屋の店長とも約束したんだからな(新記録更新したら、たこ焼き食べ放題)。


「ふー、じゃあ最初は軽くストレッチと体操から行きますか」


「ういーす」


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