キミ、カミ、ヒコーキ
「だから言っただろ、っと」


校庭の砂ぼこりが男子のけだるい笑い声の中を舞う。汗にまとわりつくようで気持ちわりぃんだ。

今日の体育はハードル走だ。俺の大好きな。今はそのウォーミングアップ中。校庭5週。


「痛っーまだ頭痛えし。あー、むっちゃ跳びてー」


ユージは走り幅跳びじゃなくて少し不満そうだった。頭をコンコンやりながら摩訶不思議なフォームで走る。こいつ、こんなんだけどハードルもなかなかいけるんだ。短距離とハードル以外の成績はパッとしない俺と比べてユージはいわゆる『万能型』。


なんでもそつなくこなす(勉強以外ね)

さすが部長さんだ。


「その様子じゃあ昼飯あんま食えねえよな……おとなしく梅おむすびにしとけ。お・む・す・び」

「あ、頭痛いの治った」

「お前の頭はずいぶんと都合よく出来てるんだな」


ケケケ

ケケケ


怪しい笑い声が2つ。1・2トップを走る。


前に誰もいない爽快感。

トップの奴だけがしるこの景色。


これがたまらなく好きなんだ。
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