キミ、カミ、ヒコーキ

☆2

【NOBUKO】

今日からまた始まる退屈な5日間。

月火水木金。

特に月と木は最悪だ。グループ活動なるものがあるから。


女子は群れたがる。一人じゃ何も出来ないんだ。

一人でいるのが恥ずかしいんだ。

恐いんだ、裏で何かを言われてしまうのが。


あたしみたいになるのが、みんな恐いんだ。


「はいはーい。じゃあいつも通り出席番号順に班作ってねー」


家庭科教師の東先生が独特のキーキー声を張り上げる。どんな女子よりも“キーキー”だ。


ガヤガヤとうごめく家庭科室。その中でも一際目立つ『あいつ』の声。


騒々しいこの空間の中であたしは一人、冷たく四角い光を放つシルバーのペンケースを見つめた。あたしだけの世界。

丸でもない、三角でもない


四角い世界。




「ねぇ、石崎さん……はどう思う?」

女子Aが話かけてきた。

「やっぱカレーライスのお肉って豚よね?」


『いや何言ってんだ、鶏ももだろ』

――なんて言えない。


あたしは適当に相づちを打って、またシルバーの四角い世界へ戻った。


< 48 / 54 >

この作品をシェア

pagetop