キミ、カミ、ヒコーキ
「んだよ、聞こえてるっつーの」

「だってだってぇ。はーい、ってお返事聞こえませんでしたよーアハハハ」

「あたしに話しかけんなってあと何百回言えばわかるんだい」

「アハハわっかんなーい」


 濱村の黒い艶やかなロングヘアーが風になびいている。あたしの傷んだ金髪ショートは、死んだイソギンチャクみたいにわさわさ揺れている。あたしは上半身を起こし顎を反らして、もう一度空を見上げた。



「ねえ、お腹空かない?」

「…………」

「ウフフーこれね、いま美智子ん中で大ヒット商品」

 あたしが無視していると、突然口に何かを放り込まれた。


「ぶごっふ!」


 焦ってそいつを地面に吐き出した。そこには無数のいかソーメンが無惨に散らばっていた。


「ありゃー、いかソーメン嫌いだった?」


「いきなり口にいれるな! ビックリすんじゃねえか」

「ありゃー、すまんすまん。お礼にこれあげるねぇ」

 濱村が差し出してきたのは、瞳がハートの形をしたウサギのストラップだった。
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