ありがとうのその前に
教室に戻ると結衣が駆け寄ってきた
『ね♪付き合った?』
『…まだ…考えてる』
『なんで?』
結衣の顔はさっきまでの笑顔はなくなってた
『もし好きになれなかったら…忘れられなかったら…裕也のこと傷つけたくないよ…』
『琴音!』
振り向くと険しい顔の修平
『しっかりしろよ!お前全然前に進めてねぇじゃねぇか!裕也の…勇気を受け止めてやれよ』
―前に進めてない―
そうだ…あたし4ヶ月前と何も変わってない
逃げてるだけだった
きっと裕也はあたしに前に進むキッカケをくれたんだね
ほんと…みんな馬鹿だよ
最高だよ
『でも…』
さっきまで険しい顔だった修平が悲しそうな目であたしの腕をつかんだ
『もし…前に進んで…それでもアイツのこと好きだったら…ちゃんとアイツの話聞いてやれよ?』
翔吾の話…?
あたしが困惑した顔になると修平がニコッと笑って
『変な顔♪』
そう言ってあたしの頬を引き伸ばした
『ッ?!修平!!』
『ばぁか~』
『もう信じらんない!』
前に進まなきゃね
その日の放課後あたしは裕也に返事をした
『よろしくね』
って