ありがとうのその前に
次の日、あたしは屋上にいた
目の前には裕也
『返事…』
『うん』
『ごめ…『わかってたよ』
裕也の言葉があたしの言葉を遮った
わかってたって?
『琴音、無理してた。俺のこと好きだって無理矢理思い込もうとしてたでしょ?』
『え…?そんなこと…』
うそ…あたし…そうだったの…?
『気付いてなかったの?琴音らしいな』
裕也が、ふッと笑みをもらした
『ずっと思いつめてる感じだったよ。』
あたし、そんな風に見えてたんだ…あたしは真剣に裕也が好きだと思ってた
でも無理に翔吾を忘れようとしてただけだったの?
裕也にはお見通しだったんだね…あたしさえ気付かなかった気持ちを…
それで傷つけていたんだよね?
『裕也…傷つけてゴメン…あたし自分勝手で…最低…』
『琴音。俺、傷ついた覚えないよ?俺といた時の笑顔は本物だと思ったから…嬉しかったしね』