ありがとうのその前に
『このプリントを他のクラスのやつに渡しといてくれ』
受けとったプリントには懐かしい文字
翔吾のプリントだ…
『そうだ!お前夢はできたのか?』
夢…
『まだ…です』
『一生のことだからなぁ考えとけよ!進路に関わるしな』
すっかり静まり返った廊下を歩きながらあたしは考えていた
夢…1年前のあたしならコバヤンにこんなことを言われても『夢なんていらない』って言ってた
でもなんだかさっきは違った
夢って聞いて翔吾の顔が浮かんだ
―叶えるために生まれてきたんだ―
この言葉であたしでも夢を持っていいんだって思えたんだよね
夢はまだ見つからない…でも見つけたいと思ってる
1年前のあたしからしたら信じられないよね
今まで全部灰色だったあたしの世界がこの言葉でキラキラ輝いたんだ
夢ではないけど…あたしが今1番望むことがある
幸せになりたい