ありがとうのその前に




『しょーご兄ちゃんだよね♪』


ヒロの一言に一瞬にしてあたしの顔が熱くなった




『彼氏~?』


『ちがッちがうよ!友達!』


『好きなんでしょ~?』


『…でも彼女いるもん…』




すると母があたしの目をまっすぐ見た




『彼女がいても関係ないの、自分にとって大切な人なら胸を張って想い続けなさい。その気持ちを恥じることや遠慮することはないんだからね。』





胸を張って想い続ける…か。




『お母さん…もし気持ちを伝えたら後悔するとわかってても伝える?』




すると母は父の遺影を見つめながら言った





『お母さんもね、同じような事考えたことあったのよ。でもおばあちゃんにね、言われたのよ』



―言っても後悔、言わなくても後悔、ならどっちの後悔がいい? 0%じゃないんだから賭けてみなさい―




『お母さんねビックリしたわ。そうか!ってね。ただ逃げてるだけだったんだって思ったから気持ち伝えたの』



『で…どうなったの?』




母は笑顔で答えた




『もちろん後悔しなかったわよ?だってちゃんと伝わったもの。お父さんにね♪』



『えぇ?!お父さんにだっの?!』




あたしが呆気に取られている間に母は食器を片付けてお風呂に行ってしまっていた





母ちゃん…父ちゃんにだったのか…。



なんか親の恋バナって複雑な気持ちになるな…





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