ありがとうのその前に
一年
今日は12月10日
あたしの誕生日まであと10日ってところまで来ている
翔吾とはあれ以来会ってない
これでよかったんだ
そう自分に言い聞かせている
『琴音!今年の琴音の誕生日はみんなで過ごそうね♪』
『うん…ありがと』
ほんとはそんな気分じゃない…だって誕生日は…
翔吾と別れた日
イヤでも思い出してしまう…
『最近翔吾みねぇなぁ』
修平は何も知らない様子であたしに尋ねてきた
『もう会わないんだ…』
そう言うと修平の顔が険しくなっていく
『琴音…お前なにやってんだよ!好きなんだろ?!』
その言葉にあたしの想いが溢れ出してきた
『仕方ないじゃん!叶わないんだよ?!辛いだけなんだよ…どうしようもないんだから…』
あたしの目からはまた涙が溢れ出す
最近涙腺は故障寸前みたい…
『辛いだけなのか?お前は翔吾といると辛いだけなのか?』
あたしはハッとした
違う…辛いだけじゃない。幸せもいっぱいくれたよね
あたしを幸せにしてくれた方が多いよね
『違うだろ?お前ならわかるよな?』
あたしはコクンと頷いた
『たしかに翔吾はひどい事もしたかもしれない…でもあいつの気持ちも考えてやれよ』
『でも…でもね…叶わないんだよ…彼女が…いるんだよ』