ありがとうのその前に
『俺、中学ん時好きな人がいてさ。でも先輩の彼女だった』
真由美先生のことだ…。
『でも俺バカだから先輩と同じような格好したら好きになってもらえるかもって思った。ほんとバカだよな、外見で好きになるわけないのに…』
翔吾は空を見上げながらため息をついた
『先輩たちはほんとに理想なカップルで羨ましかったのかもな。それに…』
話を聞いていくとある事実がわかった
翔吾が幼稚園の先生になる夢を決めたのは真由美先生のおかげだったってこと
荒れていて夢のなかった翔吾を真由美先生が当時バイトしてた幼稚園に連れて行ったらしい
そして子供の頃のことを思い出し、自分も子供に楽しみを与えたいって思ったんだって
『だから真由美は俺にとって師匠みたいな感じだから大切だった。』
翔吾はポケットから温かいココアを取り出してあたしに差し出す
『でも好きより大切が勝ったんだよな。その時から恋愛感情より家族愛って感じになった』
あたしは黙って渡されたココアを握られていない方の手で受け取った