ありがとうのその前に




『そしたらまた友達に戻れて嬉しかったけど、また嫌われて…正直ダメだってへこんだ…』




空からはまた雪がちらついてきていた





『でも修平に言われた。お前らは遠回りしすぎの不器用同士だってな。』



そして翔吾は両手であたしの手を握った




『俺、琴音の嘘は見抜く自信あったのにまだまだ未熟だったみたいだな』




そう言って翔吾が離したあたしの手を見るとキラキラ光るものがついていた





『…ゆびわ?』



『これ、去年ここで渡そうとしたやつ。琴音の夢。』




あたしの夢…?





『遠回りしたけど、琴音にもいっぱい嘘つかせて辛い想いさせたけど…幸せにするから…いつか結婚してください』




あたしの目からポタポタと大粒の涙が零れ落ちた




翔吾はあたしに初めての夢をプレゼントしようとしてくれてたんだ











―翔吾のお嫁さん―










この夢を1年前の今日あたしにプレゼントしようとしてたんだね…




なんで信じてあげられなかったんだろう…





翔吾の愛情はわかってたはずなのに…




『ありがとう…』




いっぱいひどいこと言ってゴメンね?


いっぱい悲しませてゴメン


もう疑ったりしないから…



信じるから…













あたしと幸せになってください






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