ありがとうのその前に
翔吾の気持ち―後編―
突然、琴音に呼び出された
明日屋上に来て
と。
俺は内緒ワクワクしていた
琴音が俺のもとに戻ってきてくれるかもしれない
『やべぇ!雨だ…傘持ってねぇし…』
俺は幼稚園のバイトの帰りに突然の雨で足止めをくらっていた
『翔吾くん。入ってく?』
『真由美…』
真由美は俺が琴音と別れてからずっと心配してたみたいだ
でも琴音には敢えて態度に出さないように頼んでいた
琴音に気をつかわせたくなかった
『じゃあ…頼むよ』
俺は真由美と二人で幼稚園を後にした
俺からしたらなんとも思わない行為だった
まさか琴音に見られるなんて思ってなかったし