ありがとうのその前に


俺は緊張した面持ちで琴音の部屋の前に立っていた



ヒロの言葉に部屋から明るい返事を返す琴音





俺は意を決して言葉を発した




『琴音、俺』




俺の声に返答をしないドアの向こう






『…昨日なんかゴメンな?』




とりあえず謝った。俺的には誤解させてゴメンの意味




『それは何に対してのゴメン?』


『えッ?』



琴音からの冷たい言葉に動揺してしまった





『なんで謝るの?なにも悪いことしてないじゃん』




『それは…』




違う。俺はただ…琴音を不安にさせて傷つけたことを謝りたくて…




今まで不安にさせてゴメンって…






なのに琴音からは想像もしなかった言葉が降ってきた






『翔吾には関係ないじゃん』







関係ない?俺、関係ないの?





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