ありがとうのその前に




俺は辛くて仕方なかった




好きな人に言われるとこんなに辛いんだな




『琴音はもう俺のこと嫌い?』



お願いだから『違うよ』って言ってくれ



友達でもいいから…嫌いにはならないでくれよ…





しかし琴音からの返事はなかった




そんなに俺、迷惑だったんだな


ゴメンな…勘違いしてて…





『俺そんな嫌われてたんだな…ゴメンな今まで…ゴメン…』







俺は精一杯平気な声で言った



語尾が少し涙で震えてしまったけど…






迷惑がられてたのも気付かないなんて最低だな…






俺は涙を堪えながら琴音の家を出た






すれ違う女達が俺を見て言う



『今の人、かっこいい!』


『なんか泣いてなかった?もうあたしが慰めてあげたぁ~い』





お前らなんかいらねぇよ


ふざけんな





俺は嫌われてても琴音しかいらねぇんだ





もう…琴音しか見えねぇんだよ




俺はどうすればいい?




わかんねぇよ…





つれぇよ…




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