ありがとうのその前に



卒業式も無事終わり、生徒たちはみんなグランドに集まって別れを惜しんでいたり、騒いでいたり…




俺はブラブラと歩きながら琴音を探していた




『あのッ…』



俺が振り帰るとある女の子がいた




顔はみたことあるけど…誰だっけ?






『なに?』



『ネクタイ…もらえませんか?』



『あたしにも!』


『あたしよ!』





なぜか群がる女達…




こ…こぇ~




みんな顔がマジだよ…





俺って実はモテてたんだな…いや告白はよくされてたから知ってたけどな





いつもなら無視する俺だっただろう



なんせ女はあまり好きじゃねぇ


うざいから




でも





『ゴメンな?俺、彼女いるから何もやれねぇんだ』



俺はふっと笑って女達をなだめた




その代わりに女達はキャーキャー言いながら写真撮られたけど…





こんな俺に代われたのも彼女のおかげだろう






琴音





ありがとな?

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