ありがとうのその前に



そろ~り



あたしは眼鏡と帽子を装着して周りを警戒しながらキョロキョロと見回した




『ていうか…別に周りに知ってる人いないんだから変装する必要なくない?』




あたしの隣には怪訝そうな顔をした結衣




『まぁまぁ…いいじゃん!』





なんとか結衣をなだめてあたしは学校へ足を踏み入れた





『やっぱ大学は広いなぁ~』


『広すぎて翔吾の学部の場所がわかんない…』



あたし達は広いキャンパス内でうろうろしていた





『あの~どうかしましたか?』



その声に振り向くと女の人が立っていた




髪はショートカットで明るい茶色、でもすごくおしとやかな感じで大人っぽいフワフワした感じの人




『あの…少し迷ってしまって…教育学部は…』


『もしよろしければ案内しますよ♪』




よかった!いい人だぁ♪





あたし達は歩きながら少し話をした




『何回生の方ですか?』


『1回生なんですよ♪』


『じゃあタメですね!』


『この学校じゃないんですよね?』


『えッ…ちょっと見学みたいなもんですッ』





苦しい言い訳に結衣は呆れた顔をしている




『ここです♪』


『ありがとうございます!』


『じゃああたしはここで』





彼女はそのまま教室へ入っていった



彼女もこの学部みたいだ




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