ありがとうのその前に



『琴音。こっちが孝弘で、こっちが純な』



『あ…山崎琴音です…』



『俺の彼女!』






ほら、





今「純」さんが悲しそうな顔をしたでしょ?




翔吾が笑顔で「俺の彼女!」なんて紹介したからだよね?







『彼女かわいいじゃん!!よろしくなぁ♪』




孝弘さんはなんか優しそうな感じの人だ





『純です♪前に会ったよね?』

『覚えてたんですか?!』


『うん♪』





あの時、純さんはあたしが翔吾の彼女って知ってたのかな?






知ってて優しくしてくれたのかな?





なんだか翔吾と別れてたときのあたしに似てる






平気じゃないのに平気なフリして笑顔ふりまいていたあの時のあたしに





今まで翔吾に迫っていた女の子たちとは違う






―安心できない人―だ





翔吾が放っとけないタイプの子




そう思った




< 194 / 219 >

この作品をシェア

pagetop