ありがとうのその前に
好き?
純が俺を?!
胸のあたりが濡れているのを感じた
泣いてる…?
『とりあえず…離れて?』
俺が純の肩に手を置いた時だった
『しょう…ご…』
目の前には涙を流して呆然と立ち尽くしている琴音がいた
『琴音!』
俺の声を無視して琴音は泣きながら居酒屋から出ていってしまった
俺…なにしてんだ…
追い掛けなきゃ!
俺の腕をつかむ純の手が俺の行動を阻止した
『行かないで』
純も涙をいっぱいにしている
でも何も感じなかった
琴音を追い掛けることしか頭になかった
『離して。』
『いや…!』
『離せよ!!』
純はビクッとして手を離した
そして床に座り込んだ
俺は勢いよく居酒屋のドアを開け夢中で琴音の姿を探した
くそッ…
俺…最低じゃん…