ありがとうのその前に
『お前には将来したい事とかナイのか?!こんなんじゃ何にもなれないぞ!』



またこの話か…



このオッサンはいつも将来とか夢とかの話なる




職員室に無言の空気が流れる



クーラーの音だけ響いている




口を開いたのはオッサン



『まぁ…まだお前は若いから仕方ないか。とにかく勉強は必要だぞ』




『はい』


あたしはテキトーに返事を返す


オッサンも飽きてきたらしく、帰っていいという指示が出たので涼しい職員室を出た



『失礼しやした~』



ふぅ…話長かった…



廊下は職員室と違ってムシムシしている



山崎琴音 17歳 高校2年生

趣味 特になし
特技 特になし


将来の夢





まったくなし!



そもそも今どきの高校生で夢なんて持ってる人の方が少ないだろう

あたしを含め、あたしの周りの人なんて『今』を生きるだけで精一杯


なんとなく大学行って、なんとなく就職して、なんとなく結婚する


そんな未来しか想像できない



全部が『なんとなく』だ



高校に行ってるのもなんとなく生きてきた結果。



今が楽しけりゃイイ



友達とカラオケ行ったり映画や買い物行ったり馬鹿な話したり


それでイイ



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