ありがとうのその前に



目の前は繁華街のキラキラ輝くネオン




でも涙で滲んで見えないよ





あたしが立ち止まってネオンを見ていると誰かに腕をつかまれた





『琴音!はぁッ…いた…』




汗だくで肩で息をしている翔吾がいた



きっと必死に捜してくれたんだろう






素直に嬉しかった






でも







あたしの頭の中には噂がグルグル






できるなら今は会いたくなかったな







『さっきのは違うから!純も酔ってたし…』


『純さん…翔吾が好きなんだよ?気付かなかったの…?』


『それは…』





翔吾の困った顔を見ていると急に怒りが込み上げてきた





なんで?






なんでいつもあたしが我慢しなきゃいけないの?






会えなくて寂しかったのに…会えたと思ったら他のコと抱き合って…






なんでそんな隙だらけなの?!




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