ありがとうのその前に
俺は部屋のベッドで天井を見つめていた
―あたしの気持ち考えたことないくせに…あたしがどんな気持ちだったか…どんなに…―
琴音の走り去る最後の言葉がフラッシュバックした
どんなに…
その後に何を言うつもりだったんだろうか
俺は机の隅っこに追いやられた包みを見た
『もう渡せないかもな…』
俺は昔から琴音を不安にさせる天才だったな
悩ませて、辛い決断させて…
自分が嫌いになりそうだ
『弱い俺…』
俺をこんなにへこませるのは琴音だけだよ
こんなに胸を痛めさせるのも琴音だけ
笑顔を見ただけで幸せになれるのも琴音だけ
俺が…